AX診断 提案書サンプル — 建設(工事の工程と協力会社)
サンプル一覧に戻る

架空の企業を想定したサンプルです。実在の企業とは関係ありません。

陽光建設工業株式会社様 業務フロー分析・AI社員配属提案書

サンプル(架空企業)。展示会のAX診断でお聞きした内容(業種・規模・使っているシステム・仕事の入口・困りごと・情報の置き場所・特定の人に頼っている業務・手順の文書化)から、この形式の提案書を作成します。2〜6章の現状の記述は、同業種・同規模・同じシステム構成の企業で最も多い姿の推定です。

目次

  1. 企業概要・システム全体像
  2. 人手が支えている箇所の一覧
  3. As-Is: 協力会社の手配・現場段取りワークフロー
  4. As-Is: 実行予算・原価管理ワークフロー
  5. As-Is: 業務知識の所在と属人性
  6. As-Is: AI社員を受け入れる土台の現状
  7. To-Be: 協力会社の手配・現場段取りワークフロー(AI社員配属後)
  8. To-Be: 実行予算・原価管理ワークフロー(AI社員配属後)
  9. システム構成(To-Be)
  10. 導入ステップ
  11. セキュリティ設計
  12. 提供体制
  13. 御社版の作成にあたって 付録A. 実装項目 付録B. 試用期間(PoC)の検証計画

1. 企業概要・システム全体像

項目内容
社名陽光建設工業株式会社(架空)
事業総合建設業(建築主体・土木併営)。元請施工が中心
従業員数約70名(ほかに協力会社が常時稼働)
組織工事部 / 積算課 / 営業部 / 管理部(仮の名称)
販売管理・見積Excel(担当者ごとのブック)・手作業
会計弥生会計
勤怠・労務Excel(事務所)/ 紙の出面表(現場の職人)
グループウェアMicrosoft 365(Teams・Outlook)
ファイル共有社内ファイルサーバ・NAS(図面・写真・過去物件の書類)
施工管理ANDPAD(一部の現場のみ運用中)
CADAutoCAD / JW-CAD
基幹システム(ERP)言及なし(診断セッションで確認)
仕事の入口電話 / FAX / メール / 対面・紙
主な担い手現場所長・現場監督、積算担当、管理部

現行システム構成図

情報の置き場所を、システムとシステム外(紙・記憶・個人の手控え)まで含めて描きます。

flowchart TD
  denwa["電話<br>(引き合い・手配・材料依頼)"] -->|"口頭"| genba["現場所長・現場監督"]
  taimen["対面・立ち話<br>(追加工事・変更の相談)"] -->|"口頭"| genba
  fax["FAX複合機<br>(見積依頼書・図面)"] -->|"紙"| sekisan["積算担当"]
  mail["Outlook<br>(見積依頼・発注書・連絡)"] --> sekisan
  teams["Teams / LINE<br>(現場写真・進捗・変更連絡)"] --> genba
  genba -->|"手書き・貼り替え"| wb["ホワイトボード<br>協力会社の割り振り表"]
  genba -->|"貼り直し"| daicho["Excel 工事写真台帳"]
  genba -->|"手入力"| yosanExcel["実行予算Excel<br>(現場監督ごとに様式が異なる)"]
  sekisan -->|"マクロで集計"| genkaExcel["原価集計Excel<br>(積算担当が自作)"]
  yosanExcel --> genkaExcel
  yayoi["弥生会計"] -->|"計上額を手で参照・転記"| genkaExcel
  andpad["ANDPAD<br>(一部の現場のみ)"] --> genba
  fs["ファイルサーバ・NAS<br>図面(AutoCAD・JW-CAD)・写真・過去物件<br>(最新版の判別は担当者の記憶)"]
  memo["個人の手控え・記憶<br>(職人ごとの得手・段取りの順序<br>材料の通称、追加工事の経緯)"]
  kami["紙の出面表<br>(現場の職人の稼働)"]

2. 人手が支えている箇所の一覧

御社の業務は、システムとシステムの間、またシステムに載っていない領域を担当の方々が人手でつなぐことで、毎日回っています。この章では、その人手が支えている箇所を一覧にします。支えている箇所には負担が集中しやすく、担当の方の不在や繁忙期に綻びやすいためです。展示会で伺った内容と、業種×規模×システム構成からの推定を並べ、出所の列で区別します。推定の行は「同じ構成の企業で最も多い姿」であり、御社に当てはまるかの確定は診断セッションで行います。

業務の場面いま人手で支えていること起きやすい負担・リスク出所
協力会社の手配現場ごとの割り振りをホワイトボードに手で書き、頭の中で全体を突き合わせている件数が増えると全体像が追えず、同じ会社への重複発注や手配の抜けが起きやすい伺った内容
工事写真の整理Teams・LINEに届く写真を、あとから台帳用のExcelに貼り直している枚数が数百枚になると時間を取られ、整理が後回しになりやすい伺った内容
原価の集計現場監督ごとに様式が違う実行予算Excelを、本社側で突き合わせている突合に時間がかかり、最新の原価をすぐに見られない伺った内容
材料・道具の手配電話で伝わる曖昧な呼び名を、聞いた人が正式な品名に読み替えている意図と違う品物が現場に届き、手戻りと再手配が発生する伺った内容
見積の作成担当者ごとに異なるフォーマットで作り、比較時に人が読み替えている過去物件との比較や横並びの確認に手間がかかる伺った内容
電話・チャットの記録やり取りの内容を、記憶と個人メモで保持している経緯を後から確かめる手段がなく、認識の食い違いを解けない伺った内容
追加工事・変更の管理現場の立ち話で始まった話を、担当者が頭の中で「決まった話」まで進めているどこまでが正式決定かが曖昧になり、請負金額や工期の扱いが遅れて確定する伺った内容
現場の段取りベテラン担当者が段取りの順序と勘所を記憶で保持しているその方が抜けると、担当現場の進め方が分からなくなる伺った内容
図面の版の管理ファイルサーバ上の図面(AutoCAD・JW-CAD)の最新版を、担当者が記憶で判別している旧版で作業や見積が進むと、手戻りにつながりやすい推定
協力会社への発注・出来高注文書の作成と出来高査定を、現場と本社で紙・メールを行き来させて確認している月末に集中し、原価計上のタイミングが後ろにずれやすい推定
職人の稼働把握紙の出面表を回収し、事務所側で読み取って集計している回収漏れと転記が発生し、労務費の把握が遅れる推定
ANDPADと既存運用の併存一部の現場だけANDPADを使い、残りはTeams・紙で運用している現場ごとに情報の置き場所が異なり、横断して見るときに人が集約している推定
会計との突合実行予算Excelの原価と弥生会計の計上額を、人が見比べている差異が出ると伝票と過去のやりとりを遡ることになる推定

一覧を眺めると、人手が支えているのは、個々のシステムの中ではなく、システムとシステムの間、またはシステムと記憶の間です。支え方の型は3つに集約されます。電話・対面・紙で届く仕事を人が読み取ってExcelやホワイトボードに書き写していること、判断に使う知識(職人ごとの段取り、材料の通称、追加工事の経緯)が記憶と手控えにあること、現場ごとに散らばった数字と写真の照合を人がまとめて行っていることです。これは担当の方々の工夫で業務が成立している姿であり、同時に、その方々に負担が集中する構造でもあります。

診断セッションで確認する点

3. As-Is: 協力会社の手配・現場段取りワークフロー

同時に動く現場が10〜20件程度あり、そのうち複数の協力会社が入る現場が大半を占めると推定します。手配の起点は電話と対面で、ホワイトボードが全体像の唯一の置き場所になっている前提で描きます。

3-1. 手配・段取りの1週間

時期工程担当備考
週明け稼働中の現場の進捗確認(Teams・電話・現場巡回)現場所長・現場監督ANDPAD運用中の現場のみアプリ上で確認
随時来週以降の人工の見込みを立て、協力会社へ電話現場所長個人的な付き合いのある職人へ直接連絡
随時割り振りをホワイトボードに書き込む・書き換える現場所長・工事部変更の履歴は残らず、消して上書きされる
随時材料・道具の手配依頼(電話)現場監督→事務所・商社呼び名の読み替えは受けた人が行う
随時現場写真をTeams・LINEへ投稿現場監督・職人台帳への貼り直しは後日まとめて実施
週内随時追加工事・変更の相談(現場での立ち話)現場所長・発注者正式決定の線引きは所長の判断で進む
週末・月末出面表の回収、出来高の確認工事部・管理部紙の回収と読み取りが発生

3-2. 協力会社手配のフロー

flowchart TD
  hitsuyo["必要人工の見込み<br>(工程表・現場の進捗から判断)"] --> zenpan["全体の空き状況を確認<br>(ホワイトボード+所長の記憶)"]
  zenpan -->|"空きが判断できる"| denwa["協力会社へ電話で打診"]
  denwa -->|"了承"| kinyu["ホワイトボードへ記入"]
  kinyu --> chumon["注文書の作成・送付(メール・FAX)"]
  denwa -->|"断り・条件付き"| betsu["別の協力会社を探す<br>(所長の人脈から)"]
  betsu --> denwa
  zenpan -->|"件数が多く全体が追えない"| kasanari["重複発注または手配の抜け"]
  kasanari --> chosei["現場直前の調整<br>(電話での再手配)"]
  zenpan -->|"所長が不在"| taiki["手配が待ちになる<br>(代わりに判断できる人がいない)"]

ヒアリングでは「いまだにホワイトボードでやってて、現場の件数が増えてくると誰がどこに入ってるか分からなくなる」とのことでした。全体像がひとつの物理的な板に載っており、そこを読み解ける人が限られている構造として捉えています。

3-3. 現場情報の流れ

flowchart LR
  genba["現場(監督・職人)"] -->|"写真・進捗"| teams["Teams / LINE"]
  genba -->|"口頭"| shocho["現場所長"]
  teams -->|"流れて埋もれる"| kioku["経緯は記憶と個人メモに残る"]
  teams -->|"後日まとめて貼り直し"| daicho["Excel 工事写真台帳"]
  shocho -->|"手書き"| wb["ホワイトボード"]
  shocho -->|"随時報告"| honsha["本社(工事部・管理部)"]
  andpad["ANDPAD(一部現場)"] --> honsha

3-4. 診断セッションで確認する点

4. As-Is: 実行予算・原価管理ワークフロー

実行予算は現場監督が着工前に作成し、原価は月次で積算担当が集計する前提で推定します。会計は弥生会計で、原価の管理は会計とは別のExcel上で行われている構成として描きます。

4-1. 着工から原価締めまでのタイムライン

時期工程担当備考
受注前見積作成(担当者ごとのExcelフォーマット)積算担当・営業過去物件の単価は個人のブックとファイルサーバから探す
着工前実行予算の作成現場監督様式が監督ごとに異なる
月中随時協力会社への注文・出来高の確認現場所長・工事部メール・FAX・紙が混在
月中随時材料・外注費の請求書受領管理部紙とメールの両方で届く
月末〜月初各現場の実行予算Excelを回収積算担当様式差の読み替えが発生
月初自作マクロで原価を集計積算担当中身を触れるのは本人のみ
月初弥生会計の計上額と見比べ積算担当・管理部差異が出ると伝票を遡る
月初以降現場ごとの原価の報告積算担当→経営・工事部「最新の原価」は締め後まで見えにくい

4-2. 原価集計のデータフロー

flowchart LR
  yosanA["実行予算Excel<br>(現場A・監督Aの様式)"] --> shusshu["回収・様式の読み替え"]
  yosanB["実行予算Excel<br>(現場B・監督Bの様式)"] --> shusshu
  yosanC["実行予算Excel<br>(現場C・監督Cの様式)"] --> shusshu
  shusshu --> macro["原価集計Excel<br>(積算担当の自作マクロ)"]
  seikyu["協力会社・商社の請求書<br>(紙・メール)"] --> macro
  yayoi["弥生会計"] -->|"計上額を手で参照"| shogo["目視での見比べ"]
  macro --> shogo
  shogo -->|"差異あり"| sakanobori["伝票・注文書・やりとりの遡り調査"]
  macro --> hokoku["現場別原価の報告"]

4-3. 診断セッションで確認する点

5. As-Is: 業務知識の所在と属人性

協力会社の手配と原価管理を成立させている知識の置き場所を整理します。

業務知識現在の置き場所参照する場面
協力会社ごとの得意工種・稼働の余力・付き合いの経緯現場所長の記憶、個人の携帯の連絡先手配のたび
現場ごとの段取りの順序と勘所ベテラン担当者の記憶工程の組み立て、日々の判断
材料・道具の通称と正式な品名の対応現場と事務所の双方の記憶材料手配のたび
実行予算の費目の立て方・様式の意図各現場監督の個人Excel予算作成時、原価集計時
原価集計の手順とマクロの中身積算担当の自作Excelマクロ月次の原価締め
過去物件の単価・歩掛の実績個人のExcel、ファイルサーバの過去帳票見積作成時
追加工事・変更の経緯と合意の内容立ち話の記憶、Teams・LINEの流れたやりとり精算時、発注者との協議時
図面の最新版の判別担当者の記憶、ファイル名の運用施工図の確認、見積の根拠づけ

ヒアリングでは「見積のひな形とか社内規程は文書になってますけど、現場の進め方とか協力会社さんとの調整の仕方は、ほぼ口頭と経験ですね」とのことでした。文書化は進んでいる領域と、経験に置かれている領域がはっきり分かれている状態と捉えています。

属人性は、担当者が抜けたときに何が止まるかを並べると、そのまま見えてきます。止まるものの一覧は、文書に起こすべき知識の目次でもあります。

抜けると止まる・遅れる業務支えている知識現在の担い手
実行予算の集計と原価の月次締め費目の読み替え、自作マクロの処理内容、按分の考え方積算担当1名
協力会社の手配と現場の段取り職人ごとの得手・空き状況、付き合いの経緯、段取りの順序現場所長(現場ごと)
追加工事・変更の交渉と精算現場での合意の経緯、発注者との言葉のやりとり現場所長・担当営業
材料・道具の通称の読み替え現場での呼び名と品番の対応現場監督・事務所の担当者
過去物件を根拠にした見積単価・歩掛の実績と、その物件の条件積算担当・各見積担当

6. As-Is: AI社員を受け入れる土台の現状

2〜5章は業務の流れと知識の姿でした。この章は、AI社員を配属するために必要な土台が現時点でどこまで揃っているか、いわばAI ready度を整理します。まず全体を一覧で示し、システム別の接続の詳細と、◯に変わるまでの道のりを続けます。判定はシステム構成からの推定で、確定は診断セッションで行います。判定の根拠を埋める作業は、付録Aの実装項目に対応づけています。

判定は4値です。◯ 足りている / △ 一部足りている・版による / ✕ これから整える / ? 診断セッションで確認。

観点判定根拠
業務知識が文書になっているか見積のひな形と社内規程は文書化済み。現場の進め方と協力会社の調整は口頭と経験(問診8・5章)
どれを正とするかが決まっているか実行予算の様式が現場監督ごとに異なり、原価の正が積算担当のExcelにある(問診5-3)
現場・協力会社・費目のIDの軸が揃っているか販売管理がExcel中心で、現場コード・協力会社コードの共通の軸が見当たらない
AIに渡す範囲を区切る権限の土台Microsoft 365側は権限の枠組みがある。ファイルサーバ・NASの共有の区切りは粗いと推定
仕事の入口がデータで届くか電話・FAX・対面・紙が入口(問診4)。写真はTeams・LINEに届くが台帳へは手作業
使っているシステムへの接続Microsoft 365は接続手段が充実。ANDPADは公開APIあり。弥生会計とCADは版・構成による(6-1)
承認者・役割を決められるか?情シスの体制について言及がなく、現場所長と本社の決裁の経路は診断セッションで確認

✕と△が並びますが、いずれも第一・第二工程で埋まる種類のもので、どの工程で◯に変わるかは6-2に対応表があります。

6-1. 接続手段

接続のしやすさの列は、当社カタログの一般情報(◎ 公式APIが充実 / ○ APIあり / △ 版・契約による / ✕ 手作業前提)で、確定は導入時に版・契約を確認して行います。

項目接続のしやすさ現状(推定)配属に足りているか足りない場合に埋める作業
Microsoft 365(Teams・Outlook)◎ 公式API(Graph)が充実接続手段あり。メール・投稿・写真の取得が可能足りている
ANDPAD○ 公開APIあり(開発者サイトで提供)一部の現場のみ運用。接続手段はある一部不足(運用範囲)対象現場の範囲と登録項目の確認(付録A C-05)
社内ファイルサーバ・NAS○ ネットワーク経由で直接読める(参照範囲の整理が前提)参照は可能。共有の区切りが粗い一部不足参照範囲の確定と共有の棚卸し(付録A C-04)
弥生会計△ デスクトップ版はファイル連携中心(クラウド版は連携範囲を確認)版によって接続手段が異なる版の確認が必要版が分かれば接続方式と可否を当社から提示(付録A C-03)
AutoCAD△ 図面ファイル経由が中心(クラウドAPIは構成による)ファイルサーバ上の図面ファイルとして存在一部不足ファイル経由の参照と、図面台帳の作り方を診断セッションで相談(付録A C-06)
JW-CAD? 診断セッションで確認ファイルサーバ上の図面ファイルとして存在確認が必要版と用途を確認のうえ、ファイル経由の扱いを提示(付録A C-06)
Excel(見積・実行予算・原価)✕ データ化から始める担当者ごとの様式で分散。マクロを含む不足共通の骨格の定義と、構造化した置き場所の用意(付録A C-01)
Excel・紙(勤怠・出面表)✕ データ化から始める事務所はExcel、現場は紙の出面表不足出面の入口をデータにする方法の検討(付録A C-02)
電話✕ 口頭のまま手配・材料依頼・引き合いの主経路不足通話メモの運用、または依頼の入口をTeams・メールへ寄せる相談(付録A C-02)
FAX✕ 紙のまま見積依頼書・図面が紙で届く不足複合機のPDF転送設定またはクラウドFAX(付録A C-02)
対面・立ち話✕ 口頭のまま追加工事・変更の起点になっている不足現場での記録の残し方(Teams投稿・音声メモ)を診断セッションで相談(付録A C-02)

6-2. AI readyまでの道のり

冒頭の一覧で✕と△が付いた観点は、10章の導入ステップの中で次の順に◯へ変わります。

工程◯に変わる観点具体
第一工程仕事の入口 / システムへの接続 / 権限の土台FAXのPDF化と現場写真・連絡の取り込みで入口をデータにする。Microsoft 365・ANDPAD・ファイルサーバに接続し、弥生会計とCADは版・構成を確認して接続する。参照範囲を整理する
第一〜第二工程IDの軸 / 正の明文化現場・協力会社・費目の共通コードを定め、実行予算の共通の骨格と原価の正の置き場所を明文化する。既存の様式は骨格へ寄せる形で読み替える
第二工程業務知識の文書化協力会社の得意工種と稼働、材料の通称、段取りの順序、追加工事の合意条件を意味辞書と業務マニュアルに起こす。以後は例外判断のたびに追記されて厚くなる
第三工程残る ? の確定承認者・役割の指名を確定し、対象業務を広げる

6-3. この章の読み方

足りない項目が並びますが、いずれも第一工程(10章)の中で当社が主導して埋める種類の作業で、御社の業務を止めるものはありません。埋める作業の中身と順序は、業務の実物を拝見しないと確定できないため、診断セッションの議題とします。

この規模の建設業では、Microsoft 365が全社に入っていることとANDPADの導入が始まっていることが、有利な条件です。連絡と写真の入口がすでにデータで届く経路を持っているため、整備の中心は、現場・協力会社・費目のIDの軸を立てることと、記憶にある段取りの知識を辞書化することの2つに絞られます。ANDPADが一部の現場に限られている点は、対象を広げるかどうかも含めて診断セッションで扱います。

導入で整理する、御社の業務の意味の地図

会社固有の情報の整理が済むと、御社の業務はこの形で扱えるようになります。 下段の散らばった原本を会社固有の読み替えでつなぎ、中段で業務の実体とその関係を共通のかたちに揃え、 上段のAI社員に任せる仕事につなぎます。上段の仕事を選ぶと、その仕事が使う実体・元データ・読み替えが光ります。

陽光建設工業株式会社(架空)

地元の建築・土木を元請で受け、電話や現場での相談から見積・実行予算を組み、協力会社と職人を手配して工事を仕上げる総合建設業です。

ドラッグで回転、ホイール・ピンチで拡大縮小。上段の仕事か中段の円筒を選ぶと、使う実体・元データ・読み替えが光ります

元データ(緑) 会社の読み替え(琥珀) システムに記録済みのつながり 導入で整理して作るつながり 合っているか照合するつながり

7. To-Be: 協力会社の手配・現場段取りワークフロー(AI社員配属後)

配属後の姿は、御社固有の情報(現場と協力会社の対応、材料の通称の読み替え、実行予算の費目の骨格、追加工事の合意条件)を整理したうえに成り立ちます。この章の直前に差し込んだ立体の地図は、その整理の成果物の姿です。下段が情報の置き場所(接続に導入時の確認が要るものは接続候補と表示)、中段が御社の業務で共通に扱う実体とその関係、上段がAI社員に任せる仕事です。上段の仕事を選ぶとその仕事が使う実体・元データ・読み替えが光り、実体を選ぶと判断材料がどこから来てどの仕事につながるかをたどれます。実体をつなぐ線は、システムに記録済みのつながり、導入で整理して作るつながり、合っているかを照合するつながりの3種に分かれます。

そのうえで、2章で挙げた人手の支えを、それぞれどこでAI社員が引き継ぐかを対応づけます。

2章で挙げた箇所配属後
協力会社の割り振りをホワイトボードで管理現場調整AIが手配台帳を保持し、重複と空白を検知して報告(この章)
現場写真の台帳への貼り直し現場調整AIがTeams・LINE・ANDPADの写真を現場・工種に紐づけて台帳の下書きを作る(この章)
現場監督ごとに様式が違う実行予算の突合原価管理AIが共通の骨格へ読み替えて集計(8章)
電話で伝わる材料・道具の呼び名の読み替え意味辞書を参照して現場調整AIが品名候補を提示(この章)
担当者ごとに異なる見積フォーマット原価管理AIが共通の骨格で比較表を作る(8章)
電話・チャットのやり取りが流れて残らない現場調整AIが現場単位に経緯を集約して記録(この章)
追加工事・変更の正式決定の線引きが曖昧現場調整AIが変更の起点を検知し、決定の状態を台帳で管理(この章)
ベテラン不在時に段取りが分からなくなる段取りの順序と勘所を業務マニュアルに起こし、AIが手順として提示(この章)
図面の最新版の判別原価管理AIが図面台帳を作り、版と現場の対応を保持(8章)
協力会社への発注・出来高の確認原価管理AIが注文と出来高の対応を日次で突合(8章)
紙の出面表による職人の稼働把握入口のデータ化を含めて診断セッションで扱う
ANDPADと既存運用の併存現場調整AIが両方の経路から現場単位に情報を集約(この章)
実行予算Excelと弥生会計の突合原価管理AIが計上額との差異一覧を作る(8章)

7-1. 配属案

業務現状の担当配属後の担当人の役割
協力会社の割り振りの管理現場所長+ホワイトボード現場調整AIが手配台帳を保持し、重複・空白・工期との不整合を検知打診と最終決定、関係性の判断
現場写真の整理・台帳化現場監督(後日まとめて)現場調整AIが現場・工種・日付を付けて台帳の下書きを作成分類の確認と台帳の確定
現場の連絡・経緯の記録記憶と個人メモ現場調整AIが現場単位に集約して時系列で保持記録に残す範囲の判断
追加工事・変更の追跡立ち話と所長の判断現場調整AIが起点を検知し、状態(相談中・見積提示・合意)を台帳で管理正式決定の判断と発注者との協議
材料・道具の手配電話での口頭依頼意味辞書を参照して現場調整AIが品名候補と数量を提示品名の確定と発注
段取りの手順の提示ベテランの記憶業務マニュアルを参照して現場調整AIが工程の順序と確認事項を提示手順の承認と現場の判断

7-2. 現場調整AIの職務定義

項目内容
職務協力会社の手配台帳の維持、現場写真の分類と台帳の下書き、現場ごとの連絡・経緯の集約、追加工事・変更の状態管理、材料の品名候補の提示
接続先Microsoft 365(Teams・Outlook)、ANDPAD、ファイルサーバ・NAS
単独で実行できる操作手配台帳の更新案の作成、重複・空白の検知と報告、写真の分類と台帳の下書き、経緯の記録、品名候補の提示
人の承認が必要な操作協力会社への打診・発注の連絡、材料の発注、追加工事の状態を合意済みに進めること、台帳の確定
勤務形態毎朝7:00に前日分の連絡・写真を一括処理。日中は着信の都度処理。週次で手配の空白と重複を点検

7-3. 配属後の手配フロー

flowchart TD
  kotei["工程表・現場の進捗<br>(ANDPAD・Teams・現場報告)"] --> ai["現場調整AIが必要人工を整理"]
  ai --> daicho["手配台帳と突き合わせ"]
  daicho -->|"空きがある協力会社を提示"| teian["候補と根拠(得意工種・直近の稼働)を提示"]
  teian --> handan["現場所長・工事部が打診を判断"]
  handan -->|"了承を得た"| koshin["台帳を更新し、注文書の下書きを作成"]
  koshin --> shonin["人が確認して発注"]
  daicho -->|"重複または空白を検知"| keikoku["Teamsへ報告<br>(該当現場・日付・協力会社を明示)"]
  keikoku --> handan
  ai -->|"判断材料が足りない<br>(未登録の協力会社・新工種)"| reigai["例外としてTeamsで報告"]
  reigai --> handan2["所長・工事部が判断"]
  handan2 --> tsuiki["判断結果を業務マニュアルと意味辞書に追記<br>(版管理)"]
  tsuiki -.->|"以後、同型の手配はAIが候補を出せる"| ai

手配の打診と決定は人が行い、AIは全体像の保持と検知に徹します。人の関係性に踏み込む判断をAIに移す設計ではなく、所長の頭の中にあった全体像を台帳として社内に置く設計です。ホワイトボードは当面併用し、台帳が実務に耐えることを確認しながら移していきます。

7-4. 追加工事・変更の記録フロー

flowchart TD
  kiten["変更の起点<br>(現場での立ち話・電話・Teams)"] --> kiroku["担当者がTeamsに一言投稿<br>(または通話メモ)"]
  kiroku --> ai["現場調整AIが変更候補として台帳に登録"]
  ai --> jotai["状態を管理<br>相談中 / 見積提示 / 合意 / 見送り"]
  jotai -->|"見積が必要"| mitsumori["原価管理AIへ引き継ぎ(8章)"]
  jotai -->|"合意に進める判断"| shonin["所長・営業が承認して状態を更新"]
  jotai -->|"相談中のまま日数が経過"| taikatsu["未決の一覧としてTeamsへ報告"]
  shonin --> hozon["合意の内容と経緯を現場単位で保存"]

7-5. 配属後の1日

時刻工程担当
7:00前日のTeams・LINE・ANDPADの連絡と写真の整理が完了現場調整AI
7:30手配の重複・空白、未決の変更、分類できなかった写真の一覧がTeamsに届く現場調整AI→工事部・現場所長
8:00一覧の確認と打診の判断から業務を開始。写真の貼り直しは発生しない現場所長・現場監督
随時材料手配の品名候補を確認して発注現場監督・管理部
随時判断結果をマニュアル・辞書に反映工事部・現場調整AI
週次翌週以降の手配の空白と工期の不整合を報告現場調整AI

例外の比率は導入初期が最も高く、判断のたびにマニュアルと辞書へ追記されるため、運用とともに下がる構造です。

8. To-Be: 実行予算・原価管理ワークフロー(AI社員配属後)

8-1. 原価管理AIの職務定義

項目内容
職務実行予算Excelの共通骨格への読み替えと集計、注文・出来高・請求書の突合、弥生会計の計上額との日次照合、見積の比較表の作成、図面台帳の維持
接続先ファイルサーバ・NAS、弥生会計、Microsoft 365(Outlook・Teams)、ANDPAD
単独で実行できる操作集計と照合の実行、差異一覧の作成と報告、未計上・未突合の検知、比較表と台帳の下書き作成
人の承認が必要な操作差異の最終判断、原価の締めの確定、見積の提出、仕訳の確定
勤務形態毎日夕方に定時実行。月末から月初の期間は毎朝も実行

8-2. 配属後の月次タイムライン

時期工程担当
毎日各現場の実行予算Excelを読み替えて集計。前日との差分を保持原価管理AI
毎日注文書・出来高・請求書の対応の突合、未突合の検知原価管理AI
毎日弥生会計の計上額との照合(現場別・費目別)原価管理AI
随時現場別の最新原価と予算消化の状況を参照できる経営・工事部・現場所長
月末差異一覧と根拠(該当注文書・請求書・現場)がTeamsに届く原価管理AI→積算担当・管理部
月初1〜2日差異の判断、原価の締めの確定積算担当・管理部
随時見積依頼に対し、過去物件の実績を添えた比較表の下書きを作成原価管理AI→積算担当
随時図面の版と現場の対応を台帳で維持原価管理AI

8-3. 実行予算の骨格の扱い

flowchart LR
  yosanA["実行予算Excel<br>(現場A)"] --> yomikae["原価管理AIが<br>共通骨格へ読み替え<br>(意味辞書の費目対応)"]
  yosanB["実行予算Excel<br>(現場B)"] --> yomikae
  yosanC["実行予算Excel<br>(現場C)"] --> yomikae
  yomikae --> shukei["現場別・費目別の原価集計"]
  chumon["注文書・出来高・請求書"] --> shukei
  yayoi["弥生会計(計上額)"] --> shogo["日次照合"]
  shukei --> shogo
  shogo -->|"差異あり"| ichiran["差異一覧+根拠を提示"]
  shukei --> saishin["最新の現場別原価を随時参照"]
  yomikae -->|"未登録の費目・様式の変更"| reigai["例外として報告"]
  reigai --> tsuiki["費目対応を辞書に追記"]

現場監督ごとの様式をすぐに統一する前提には立ちません。共通の骨格を定めて、既存の様式は辞書の費目対応で読み替えます。様式を揃えるかどうかは、読み替えの実績が見えてから判断できます。積算担当の自作マクロが担っている処理は、内容を伺ったうえで業務マニュアルに起こし、AIが実行する手順として社内に残します。

8-4. 時間の変化(推定)

項目現状配属後
実行予算の突合と原価集計月初に積算担当が回収・読み替え・集計日次で集計済み。月末に差異一覧が出ている
最新の原価の把握締め後まで見えにくい随時参照できる
現場写真の台帳化後日まとめて貼り直し下書きが日次で作られ、人は確認のみ
協力会社の手配の全体像ホワイトボードと所長の記憶台帳に載り、重複と空白が検知される
積算担当・所長の不在時原価の締めと手配が止まる手順と台帳が残り、例外報告に一元化される
追加工事の経緯記憶と流れたやりとり現場単位に時系列で残る
見積の横並び比較担当者ごとの様式を人が読み替え共通骨格の比較表が下書きで出る

実数の測定は、試用期間中に御社の現場と帳票で行います(付録B)。

9. システム構成(To-Be)

flowchart TD
  m365["Microsoft 365<br>(Teams・Outlook)"] --> madoguchi
  andpad["ANDPAD"] --> madoguchi
  fs["ファイルサーバ・NAS<br>(図面・写真・過去物件)"] --> madoguchi
  yayoi["弥生会計"] --> madoguchi
  excel["実行予算・原価・見積Excel"] --> madoguchi
  faxin["FAX受信(PDF)"] --> madoguchi
  madoguchi["各システムとAIの間の窓口(システムごとに設置)<br>・アクセスできる範囲の制御(権限)<br>・全操作の記録(監査ログ)<br>・意味辞書(材料の通称、費目の対応、協力会社の情報、正となる数字の定義)"]
  madoguchi --> genbaAI["現場調整AI"]
  madoguchi --> genkaAI["原価管理AI"]
  genbaAI -->|"報告・例外照会"| teams["Teams"]
  genkaAI -->|"報告・例外照会"| teams
  teams <-->|"判断・承認"| hito["現場所長・工事部・積算担当・管理部"]

意味辞書に登録する内容の一覧は、付録A-2にまとめています。

10. 導入ステップ

第一工程の内容は、6章で足りないとした項目にそのまま対応します。

工程内容この時点で使える状態
第一工程窓口の接続(Microsoft 365・ANDPAD・ファイルサーバ・弥生会計・FAX受信)と意味辞書の初期整備、現場・協力会社・費目のコードの整理現場ごとに散らばった図面・写真・連絡・数字を、意味を踏まえて横断検索・集計できる
第二工程現場調整AIの配属。手配台帳・写真の台帳化・変更の追跡から開始手配の全体像が台帳に載り、写真の貼り直しと経緯の探し直しが減る
第三工程原価管理AIの配属、対象業務の拡大実行予算の集計と会計との照合が日次化し、最新原価を随時参照できる

導入後に社内に残るものは次の3点で、いずれもファイルの形を持ちます。

  1. 業務マニュアル。現場の段取りの順序、手配の進め方、原価締めの手順を含む、版管理された手順書
  2. 意味辞書。材料の通称、費目の対応、協力会社の得意工種をはじめとする、データの読み方の登録集
  3. 監査ログ。AIがいつ何を参照しどの操作をしたかの全記録

利用をやめた場合も、この3点は読める形式のファイルとして手元に残ります。

他の手段との比較

外注(BPO)RPA・AI-OCRCopilotAI社員
例外が起きたとき委託先が対応する処理が止まり、人が拾う人が操作して対処する人が判断し、判断結果が手順に追記される
ノウハウの残り先委託先の会社設定した担当者使った個人自社の業務マニュアルと意味辞書
記録委託先の管理に依存実行ログのみ残らない全操作の監査ログ
やめたときノウハウごと失われる設定だけが残るマニュアル・辞書・ログがファイルで残る

導入後も続く運用

業務は変わり続けます。新しい協力会社、工種の追加、発注者ごとの様式の変更、ANDPADの適用現場の拡大。月額利用の中では、例外判断のマニュアル・辞書への反映、接続先の変化への追従、任せる業務の拡張が続きます。AI社員の仕事の範囲は、配属時の定義から運用の中で広がっていきます。

実装項目の一覧は付録A、試用期間の検証計画は付録Bにまとめています。

11. セキュリティ設計

11-1. データの経路と実行の条件

データ通る経路通らない経路
図面・現場写真窓口を経由してAI社員が参照外部AIモデルの学習には使用しない
実行予算・原価・見積権限のある範囲でのみ参照権限のない参加者がいる場では表示しない
協力会社の単価・取引条件権限のある範囲でのみ参照現場単位の共有先には既定で開かない
AIモデルの利用処理に必要な範囲のデータを推論時にAIモデルへ渡す学習・保存には使われない設定で利用。要件に応じてプライベート環境にも対応
実行記録監査ログとして自社環境に保存社外に送信しない

11-2. 導入時によく確認される事項

確認事項回答
データの保存先と環境分離1社1環境で提供。保存先と取り扱いは導入時に書面で明示。詳細資料は診断セッションで提供
発注者から預かる図面・仕様書の扱い参照範囲を物件単位で区切り、閲覧と操作の履歴を監査ログに残す
既存のCopilot等との関係併存。個人の文書作成はそれらのツール、担当業務の遂行はAI社員と役割が分かれる
例外の多い業務への適用頻出の例外はマニュアルに載せ、一点物の判断は人に残す。載る範囲と載らない範囲の線引きを導入前に文書で提示
解約時のデータ業務マニュアル・意味辞書・監査ログは読める形式のファイルとして残る
診断セッションの参加者技術担当が同席。希望に応じてNDA締結後に実施。議題は事前に固定

12. 提供体制

場面当社が行うこと御社にお願いすること
導入(第一工程)窓口の接続、意味辞書の初期整備、現場・協力会社・費目のコードの整理案の作成、業務の聞き取りと現場の観察業務知見の提供(ヒアリング対応)、正とするルールの判断
導入(第二工程)AI社員の設定、業務マニュアルの初稿作成、試用期間の運営例外の判断、マニュアル内容の承認
運用開始後定例の振り返り、例外傾向の分析、任せる業務の拡張提案、接続先の変化への追従判断と承認の継続

導入から運用まで、技術担当と導入支援担当が付きます。問い合わせは担当窓口に一本化します。

13. 御社版の作成にあたって

本書は架空企業のサンプルです。2〜6章のAs-Isはシステム構成からの推定であり、御社の実際の業務・数字・例外ルールを反映していません。

御社版の作成は、30分の診断セッションから始めます。セッションでは次の3点を持ち帰っていただけます。

  1. 2章の一覧を御社の実際に合わせて確定した、人手が支えている箇所の一覧表
  2. お使いのシステムの版に応じた、接続方式と可否の回答(弥生会計・ANDPAD・AutoCAD・JW-CADを含む)
  3. どの業務から、どんな体制で、どの程度の規模感で始められるかの初期見立て

セッションは技術担当が同席し、ご希望に応じてNDA締結後に実施します。議題は事前にお送りする内容に固定します。お申し込みは、ブースの担当者にお声がけください。

(セッションを予約されない場合、こちらからの営業連絡は行いません。)

付録A. 実装項目

実装の中心は、各システムとAIの間の窓口(標準規格MCPによる接続)の構築と、業務ナレッジ(意味辞書・業務マニュアル)の整備の2つです。項目をID付きで整理します。

A-1. 窓口の接続

ID接続先実装内容読み書きの範囲工程
M-01Microsoft 365(Teams)現場ごとのやりとりと写真の取得、報告・例外照会・承認依頼の送受信送受信第一
M-02Microsoft 365(Outlook)見積依頼・注文書・請求書メールと添付の取得読み取りのみ第一
M-03FAX受信複合機からのPDF転送を受けて見積依頼書・図面を取り込む読み取りのみ第一
M-04ANDPAD現場・工程・写真・報告の参照。登録は承認付き参照+登録(承認付き)第一〜第二
M-05ファイルサーバ・NAS図面(AutoCAD・JW-CAD)・写真・過去物件書類の検索参照読み取りのみ第一
M-06実行予算・原価・見積Excel共通骨格への読み替えと集計、比較表・台帳の下書き作成参照+下書きの書き出し第一〜第三
M-07弥生会計計上額・残高の参照。接続方式は利用中の版により異なる読み取りのみ第一〜第三

すべての窓口に、アクセス範囲の制御と全操作の記録が標準で備わります。既製の接続部品がある接続先はそれを使い、ない接続先は個別に開発して納品します。

A-2. 意味辞書の整備

ID辞書内容整備の方法
D-01現場・工事のコード物件名の表記ゆれと現場コードの対応、工期・発注者・工種の区分過去物件の書類とExcelの取り込み
D-02協力会社の情報協力会社ごとの得意工種、対応可能な人数、稼働の傾向、連絡先現場所長へのヒアリングと注文書の実績からの抽出
D-03材料・道具の通称現場での呼び名と正式な品名・品番の対応現場監督・事務所へのヒアリング、過去の発注実績からの抽出
D-04費目の対応現場監督ごとの実行予算の費目と、共通骨格の費目の対応各現場のExcelの取り込みと積算担当へのヒアリング
D-05見積の骨格見積フォーマットの項目と共通骨格の対応、過去物件の単価・歩掛の実績既存のひな形と過去見積の取り込み
D-06図面の版図面ファイルの命名・改訂の読み取り方と、現場・工種の対応ファイルサーバの棚卸しと担当者へのヒアリング
D-07正となる数字原価・予算・計上額の正はどのシステムのどの値か、計上のタイミング積算担当・管理部へのヒアリング

A-3. 業務マニュアルの整備

IDマニュアル内容
K-01協力会社の手配必要人工の見込みから打診・注文書の作成までの手順と、AIが単独で進めてよい条件
K-02現場の段取り工種ごとの段取りの順序、先行して押さえる確認事項、ベテランの勘所の文書化
K-03写真・記録の運用現場写真の分類基準、台帳の作り方、経緯を残す範囲
K-04追加工事・変更変更の起点の記録方法と、相談中・見積提示・合意の状態を進める条件
K-05実行予算・原価締め予算作成の骨格、日次照合の手順、差異報告の形式、締めの確定手順
K-06例外対応例外の型(未登録の協力会社・新工種・未登録の費目・分類できない写真)ごとの報告先と判断の記録方法
K-07追記の運用例外判断の結果をマニュアル・辞書へ反映する手順と版管理

A-4. AI社員の設定

ID項目内容
A-01現場調整AIの定義職務・接続先・権限・勤務形態(毎朝7:00の定時実行+着信の都度、週次の手配点検)
A-02原価管理AIの定義職務・接続先・権限・勤務形態(毎夕の定時実行。月末から月初は毎朝も実行)
A-03承認フロー協力会社への打診・発注、材料の発注、追加工事の状態更新、原価の締めをTeams上で承認する経路の設定
A-04参照範囲の設定現場単位・役割単位での参照範囲の区切り(現場所長・現場監督・積算・管理部・経営)

A-5. 開始前に一緒に確認する事項

いずれも第一工程の中で当社が主導して進めます。御社に単独でお願いする作業はありません。

ID項目内容
C-01実行予算・見積の共通骨格費目と項目の共通の骨格を定め、既存の様式を読み替える対応表を作成。積算担当の自作マクロの処理内容を伺い、手順として文書化
C-02口頭・紙の入口のデータ化複合機のPDFメール転送設定またはクラウドFAXの導入、電話・立ち話の記録の残し方(Teams投稿・通話メモ)、紙の出面表の扱いを相談
C-03システムの版の確認弥生会計の版(クラウド/デスクトップ)をお知らせいただければ、接続方式と可否を当社から提示します
C-04ファイルサーバ・NASの権限整理AIに参照させる範囲の確定と、不要な共有の棚卸し
C-05ANDPADの運用範囲運用中の現場と登録項目を確認し、広げるかどうかを含めて接続の範囲を決める
C-06CADファイルの扱いAutoCAD・JW-CADの版と用途を確認し、図面台帳の作り方と参照方法を決める
C-07アカウントの発行AI社員用のアカウントとTeamsのチャネル・トークルームの用意
C-08役割の任命教育係、例外の判断者、意味辞書の内容を承認する担当(工事部・積算)の指名

A-6. 非機能要件

環境の独立と監査ログの扱いは11章のとおりです(保持期間は導入時に取り決めます)。

項目内容
稼働時間帯定時実行(朝・夕)と着信の都度処理、週次の点検。時間帯は設定で変更できる
停止時の業務継続窓口が停止した場合は従来の手作業手順に戻れる。図面・写真・Excelは既存の置き場所にあり失われない
現場からの利用Teams経由での参照・照会に対応。参照範囲は現場単位・役割単位で区切る
追跡現場1件ごとに、手配・変更・原価の参照と承認の履歴を遡って確認できる

付録B. 試用期間(PoC)の検証計画

導入は試用期間として小さく始め、開始前に合意した水準で本番化を判定します。

B-1. 試用期間の範囲

項目内容
対象業務協力会社の手配台帳、現場写真の台帳化、追加工事・変更の追跡の3つ。原価管理AIは手配の本番化後に着手
対象現場稼働中の現場3〜5件(ANDPAD運用中の現場とTeams運用の現場を混ぜる)
期間4〜6週間
運用形態並走運用。ホワイトボードと台帳を併用し、内容が一致することを確認しながら台帳に寄せる
体制教育係1名、例外の判断者1名(工事部または現場所長、兼任可)、週次の振り返り30分

B-2. 検証項目と指標

本番化の水準は試用期間の開始前に合意し、文書に残します。表の水準は例です。

検証項目指標測定方法本番化の水準(例)
手配台帳の一致台帳とホワイトボード・実際の入場が一致した割合週次の突合対象現場で継続的に一致
重複・空白の検知検知した件数と、人が見落としていた件数検知報告と実際の手配結果の照合見落ちの検知が発生し、誤検知が少数
写真の分類人手の修正なしで現場・工種に紐づいた写真の割合実行ログの週次集計8割以上
台帳作成の時間写真台帳の作成にかかる時間試用期間前後の実測貼り直し作業分が減少
変更の追跡変更の起点が台帳に登録された件数と、未決一覧の推移台帳の履歴立ち話起点の変更が記録されている
材料手配の精度品名候補が意図と一致した割合、手戻りの発生件数発注実績との突合手戻りが減少
例外の収束例外として人に回った件数の週次推移例外報告の件数集計週を追って低下
資産の蓄積マニュアル・辞書への追記件数と版の更新版管理の履歴追記が継続している
統制承認の通過漏れと、監査ログでの追跡可否ログの抽出検査漏れゼロ、全件追跡可