AX診断 提案書サンプル — 物流(配送と車両の手配)
サンプル一覧に戻る

架空の企業を想定したサンプルです。実在の企業とは関係ありません。

湘南物流サービス株式会社様 業務フロー分析・AI社員配属提案書

サンプル(架空企業)。展示会のAX診断でお聞きした内容(業種・規模・使っているシステム・仕事の入口・困りごと・情報の置き場所・特定の人に頼っている業務・手順の文書化)から、この形式の提案書を作成します。2〜6章の現状の記述は、同業種・同規模・同じシステム構成の企業で最も多い姿の推定です。

目次

  1. 企業概要・システム全体像
  2. 人手が支えている箇所の一覧
  3. As-Is: 受注・配車ワークフロー
  4. As-Is: 日報・請求・給与ワークフロー
  5. As-Is: 業務知識の所在と属人性
  6. As-Is: AI社員を受け入れる土台の現状
  7. To-Be: 受注・配車ワークフロー(AI社員配属後)
  8. To-Be: 日報・請求・給与ワークフロー(AI社員配属後)
  9. システム構成(To-Be)
  10. 導入ステップ
  11. セキュリティ設計
  12. 提供体制
  13. 御社版の作成にあたって 付録A. 実装項目 付録B. 試用期間(PoC)の検証計画

1. 企業概要・システム全体像

項目内容
社名湘南物流サービス株式会社(架空)
事業一般貨物自動車運送(企業向け配送・区域中心)
従業員数約80名(うちドライバー約50名)
拠点営業所3か所
組織営業部 / 配車課 / 運行管理 / 管理部(経理含む)
基幹システム自社開発の基幹システム(オフコンから引き継いだ受注管理)
販売管理・配車Excel、ホワイトボード、手作業
会計弥生会計
勤怠ジョブカン勤怠管理
グループウェアLINE WORKS(ドライバーとの連絡)
ファイル共有社内ファイルサーバ・NAS(伝票・帳票・点呼記録・日報の綴り)
業種別システムデジタコ(矢崎エナジーシステム)、トラボックス(空車情報の参照)
受注経路電話が最多 / FAX / メール
配車の担当配車課(ベテラン1名が中心)、経理2名

現行システム構成図

情報の置き場所を、システムとシステム外(紙・記憶・個人の手控え)まで含めて描きます。

flowchart TD
  denwa["電話(受注の最多経路)"] -->|"口頭"| note["受注ノート(紙)"]
  fax["FAX複合機"] -->|"紙"| note
  mail["メール"] --> haisha["配車課"]
  note --> haisha
  haisha -->|"手書き・手入力"| wb["ホワイトボード<br>(当日の配車。随時書き換え)"]
  haisha -->|"手入力"| ex["個人のExcel<br>(配車表・運行実績の控え)"]
  haisha -->|"受注の登録"| kikan["自社開発の基幹システム<br>(受注管理)"]
  driver["ドライバー約50名"] -->|"紙で提出"| nippo["運転日報(紙)"]
  nippo -->|"事務所で打ち直し"| ex
  ex -->|"転記"| seikyu["請求書(Excel)"]
  ex -->|"手計算"| kyuyo["歩合給・残業代の計算(Excel)"]
  kyuyo -->|"金額を手で転記"| yayoi["弥生会計"]
  seikyu -->|"売上を手で転記"| yayoi
  jobcan["ジョブカン勤怠<br>(出退勤の打刻)"] -->|"目視参照"| kyuyo
  digitaco["デジタコ(矢崎)<br>運行データ"] -.->|"参照は限定的"| haisha
  trabox["トラボックス<br>(空車探し)"] -.->|"画面を見て電話"| yousha["傭車先への電話"]
  fs["ファイルサーバ・NAS<br>伝票・帳票・点呼記録・日報綴り"]
  memo["担当者の頭の中<br>(荷主ごとの納品条件、ドライバーの状態、<br>傭車先の付き合い、歩合の例外)"]
  haisha --- memo

2. 人手が支えている箇所の一覧

御社の業務は、システムとシステムの間、そしてシステムと記憶の間を担当の方々が人手でつなぐことで、毎日回っています。この章では、その人手が支えている箇所を一覧にします。支えている箇所には負担が集中しやすく、担当の方の不在や繁忙期に綻びやすいためです。展示会で伺った内容と、業種×規模×システム構成からの推定を並べ、出所の列で区別します。推定の行は「同じ構成の企業で最も多い姿」であり、御社に当てはまるかの確定は診断セッションで行います。

業務の場面いま人手で支えていること起きやすい負担・リスク出所
受注受付電話とFAXで受けた注文をノートに書き取り、それを見ながら配車を組む朝の電話が集中する時間帯に他の業務へ手が回らず、書き取りの精度も時間帯に左右される伺った内容
配車組み荷主ごとの納品条件とドライバーごとの状態を踏まえた配車の組み立て組める方が休むと配車が立たず、代わりの方が引き継げない伺った内容
当日変更追加便・欠勤・渋滞に応じたホワイトボードの書き直し書き換えで前の状態が消え、誰が何を運んだかを後から辿れない伺った内容
傭車手配付き合いのある傭車先へ順に電話して空き車両を探す探す時間が読めず、依頼先の選定が個人の付き合いに依存する伺った内容
日報の処理紙の運転日報を事務所で請求・給与用に打ち直す二重入力の量が日々発生し、読み取りと転記の確認が続く伺った内容
給与計算歩合と残業代の例外を踏まえた月次のほぼ手計算知る方が一人に集中し、繁忙月や不在時に計算が遅れやすい伺った内容
請求の締めあちこちの伝票をかき集めて請求内容を確定する月末に作業が集中し、拾い漏れの確認に時間がかかる伺った内容
荷主条件の把握納品時間・積み下ろしの取り決めを営業の一部の方が把握担当外では答えられず、問い合わせがその方に集まる伺った内容
運行実績の裏取りデジタコの運行データと日報・配車予定の突き合わせ突き合わせが手作業のため、待機時間や高速代の請求根拠を都度探すことになる推定
荷主への到着連絡遅延・不在の連絡を電話で行い、記録は残らない行き違いの経緯が後から確認できず、責任の切り分けに時間がかかる推定
傭車費の精算傭車先ごとの取り決め単価と実績の照合、請求書の内容確認単価の記憶違いが支払差異になり、月末に個別確認が発生する推定
運行管理の記録点呼記録・日報の様式への記入と保管、法定項目の充足確認様式はあるものの保管が紙中心で、監査時の抽出に手間がかかる推定
車両・免許の期限車検・保険・免許・資格の期限を手控えで管理期限が近いものの把握が個人の管理に依存する推定
売上の会計反映請求Excelから弥生会計への金額の転記転記後の照合が目視になり、差異が月次で見えにくい推定

一覧を眺めると、人手が支えているのは個々のシステムの中ではなく、システムとシステムの間、またはシステムと記憶の間です。支え方の型は3つに集約されます。電話とFAXと紙の日報で届く仕事を人が読み取って入力していること、配車と給与の判断に使う知識(荷主の納品条件、ドライバーの状態、傭車先の当て、歩合の例外)が記憶と手控えにあること、日報・デジタコ・基幹システム・弥生会計の間の照合を人がまとめて行っていることです。これは担当の方々の工夫で業務が成立している姿であり、同時に、その方々に負担が集中する構造でもあります。

診断セッションで確認する点

3. As-Is: 受注・配車ワークフロー

区域配送を主とし、荷主からの当日・翌日の依頼が電話とFAXでまとまって届く前提で推定します。営業所3か所ぶんの車両とドライバーを、配車課が横断して割り付けている姿を想定します。

3-1. 受注・配車の1日

時刻工程担当備考
早朝点呼、ドライバーの出勤確認運行管理欠勤が出た場合はこの時点で配車の組み替えが始まる
電話・FAXの注文受付とノートへの書き取り配車課ヒアリングでは「朝は鳴りっぱなしですね」とのことでした
当日便の割り付け、ホワイトボードへの記入配車課(ベテラン中心)荷主の時間指定・積み下ろし条件・ドライバーの状態を踏まえて組む
朝〜午前ドライバーへの指示連絡配車課→ドライバーLINE WORKSと電話を併用
日中追加便・遅延・欠勤への対応、ホワイトボードの書き直し配車課書き換えのたびに前の状態が消える
日中車両不足時の傭車手配配車課トラボックスを見た後、付き合いのある先へ順に電話
夕方以降運転日報の受け取り、翌日便の下組み運行管理・配車課日報は紙で提出され、翌営業日以降に打ち直し

3-2. 受注から配車確定までのフロー

flowchart TD
  juchu["注文の受領<br>(電話・FAX・メール)"] --> note["受注ノートへ書き取り"]
  note --> joken["荷主ごとの条件の確認<br>(納品時間・積み下ろし・車格)"]
  joken -->|"条件が分かる"| wari["車両・ドライバーの割り付け<br>(得意エリア・当日の状態を踏まえる)"]
  joken -->|"条件が分からない"| eigyo["営業担当に電話で確認"]
  eigyo --> wari
  wari -->|"自社車両で足りる"| wb["ホワイトボードへ記入・指示連絡"]
  wari -->|"車両が足りない"| trabox["トラボックスで空車を確認"]
  trabox --> tel["付き合いのある傭車先へ順に電話"]
  tel -->|"確保"| wb
  tel -->|"確保できない"| chosei["荷主と納期・便の調整"]
  chosei --> wb
  wb --> henko["当日の追加便・欠勤・遅延"]
  henko -->|"書き直し"| wb
  wb --> jisseki["実績は紙の日報として翌日以降に集約"]

3-3. 診断セッションで確認する点

4. As-Is: 日報・請求・給与ワークフロー

月末締めの荷主を主とし、ドライバーの給与が固定給に歩合と残業代を加えた構成である前提で推定します。

4-1. 締めから支払までのタイムライン

時期工程担当備考
毎日紙の運転日報の回収運行管理営業所ごとに集約され、本社へ回る
随時日報の内容をExcelへ打ち直し管理部請求用と給与用で使う項目が異なり、実質二度読む
月末請求対象の実績の拾い出し管理部・営業日報、配車の控え、傭車先の請求書、付帯作業のメモを集める
締め+数日請求書の作成・送付経理荷主ごとの様式・単価体系に合わせて作成
締め+数日傭車費の照合と支払処理経理取り決め単価と傭車先請求書の突き合わせ
給与締め後歩合・残業代の計算経理(1名)区域ごとの単価、欠勤時の扱いなどの例外を個別に反映
月初弥生会計への計上経理売上・人件費・傭車費の金額を手で転記

4-2. 実績データの流れ

flowchart LR
  nippo["運転日報(紙)"] -->|"打ち直し"| ex["Excel(実績)"]
  wb["ホワイトボード<br>(書き換えで消える)"] -.->|"記憶と控えで補う"| ex
  digitaco["デジタコ<br>運行データ"] -.->|"必要時に個別確認"| ex
  ex --> seikyu["請求書(Excel)"]
  ex --> kyuyo["歩合・残業代の計算(Excel)"]
  jobcan["ジョブカン勤怠"] -->|"目視参照"| kyuyo
  yousha["傭車先の請求書(紙・FAX)"] --> shogo["取り決め単価との照合"]
  shogo --> shiharai["支払処理"]
  seikyu -->|"手で転記"| yayoi["弥生会計"]
  kyuyo -->|"手で転記"| yayoi
  shiharai -->|"手で転記"| yayoi

4-3. 診断セッションで確認する点

5. As-Is: 業務知識の所在と属人性

配車と請求・給与を成立させている知識の置き場所を整理します。

業務知識現在の置き場所参照する場面
荷主ごとの納品時間・積み下ろしの取り決め営業の一部の方の記憶、個人の手控え受注受付と配車組みのたび
ドライバーごとの得意エリア・当日の状態・声のかけ方配車ベテランの記憶配車組みのたび
車格・免許・資格と荷物の組み合わせの可否配車ベテラン・運行管理の記憶割り付けのたび
傭車先の当て(どこへ声をかければ出してもらえるか)と取り決め単価配車ベテランの個人的な付き合い、手控え車両不足のたび
請求単価の体系と加算のルール経理・営業の手控え、過去の請求書月末の請求作成時
歩合給の計算の考え方と例外の扱い経理1名の記憶毎月の給与計算時
当日変更後の実際の運行(誰が何を運んだか)ホワイトボード(書き換えで消える)、記憶請求の裏取り、荷主からの問い合わせ時

手順の文書化について伺ったところ、「点呼記録とか運転日報は決まった様式があるんで形はありますけど、配車の組み方とか給料の計算の考え方は、まったく書いたものがないです」とのことでした。法令で様式が定まっている領域は形が整っており、判断が絡む領域が記憶に残っている、という分かれ方です。

属人性は、担当者が抜けたときに何が止まるかを並べると、そのまま見えてきます。止まるものの一覧は、文書に起こすべき知識の目次でもあります。

抜けると止まる・遅れる業務支えている知識現在の担い手
当日の配車組み荷主ごとの納品条件、ドライバーごとの状態、車格と資格の可否配車課のベテラン1名
車両不足時の傭車手配傭車先の当てと取り決め単価、声をかける順序同上
歩合給・残業代の計算区域ごとの単価、欠勤時の扱いなどの例外経理1名
荷主からの条件確認への回答納品時間・積み下ろし・付帯作業の取り決め営業の一部の方
請求の裏取り(誰が何を運んだか)当日変更の経緯配車課のベテラン1名

6. As-Is: AI社員を受け入れる土台の現状

2〜5章は業務の流れと知識の姿でした。この章は、AI社員を配属するために必要な土台が現時点でどこまで揃っているか、いわばAI ready度を整理します。まず全体を一覧で示し、システム別の接続の詳細と、◯に変わるまでの道のりを続けます。判定はシステム構成からの推定で、確定は診断セッションで行います。判定の根拠を埋める作業は、付録Aの実装項目に対応づけています。

判定は4値です。◯ 足りている / △ 一部足りている・版による / ✕ これから整える / ? 診断セッションで確認。

観点判定根拠
業務知識が文書になっているか手順の文書化は「ほぼ人の頭の中」との回答。配車の組み方と給与計算の考え方に書いたものがない(5章)
法定帳票の様式が整っているか点呼記録・運転日報は決まった様式があり、記入・保管の運用が回っている
どれを正とするかが決まっているか?受注は基幹システムとExcelとノートに分散。日報とデジタコ、日報とジョブカンのどちらを正とするかは診断セッションで確認
荷主・車両・ドライバーのIDの軸が揃っているか基幹システムに荷主の軸がある想定。車両・ドライバーはジョブカン・デジタコ・Excelで別の呼び方になっている可能性がある
AIに渡す範囲を区切る権限の土台ファイルサーバ・NASの共有が広く、営業所をまたぐ範囲の区切りが粗い
仕事の入口がデータで届くか電話が最多、次にFAX。受注はノートへの書き取りから始まる
実績がデータで残るかデジタコに運行データはあるが、日報は紙。当日変更はホワイトボードの書き換えで消える
使っているシステムへの接続弥生会計・基幹システムは版と作りによる。ジョブカン勤怠・LINE WORKS・NASは接続手段あり(6-1)
承認者・役割を決められるか?情シス専任の有無と、営業所3か所での承認の経路は診断セッションで確認

✕と△が並びますが、いずれも第一・第二工程で埋まる種類のもので、どの工程で◯に変わるかは6-2に対応表があります。

6-1. 接続手段

接続のしやすさの列は、当社カタログの一般情報(◎ 公式APIが充実 / ○ APIあり / △ 版・契約による / ✕ 手作業前提)で、確定は導入時に版・契約を確認して行います。

項目接続のしやすさ現状(推定)配属に足りているか足りない場合に埋める作業
自社開発の基幹システム△ 作りによる。DB直結・ファイル連携などを個別に確認オフコンから引き継いだ受注管理。データの持ち方は個別確認が必要作りの確認が必要データベースの構造と出力手段を確認し、接続方式を当社から提示(付録A C-02)
弥生会計△ デスクトップ版はファイル連携中心(クラウド版は連携範囲を確認)デスクトップ版かクラウド版かで接続手段が異なる版の確認が必要版が分かれば接続方式と可否を当社から提示(付録A C-02)
ジョブカン勤怠管理○ APIあり(利用申請による)打刻データは蓄積済みほぼ足りているAPI利用の申請手続き(付録A C-05)
LINE WORKS○ APIありドライバーとの連絡経路として稼働中足りている
社内ファイルサーバ・NAS○ ネットワーク経由で直接読める(参照範囲の整理が前提)参照は可能。共有の区切りが粗い一部不足参照範囲の確定と共有の棚卸し(付録A C-04)
Excel・手作業(配車表・請求・給与)✕ データ化から始める個人のExcelとホワイトボードに分散不足配車・実績の項目を決めた入れ物の用意と、既存Excelの取り込み(付録A C-06)
デジタコ(矢崎エナジーシステム)△ 出力の形は機種・契約による。ファイル書き出しでの連携運行データは車両側に蓄積。事務所での活用は限定的と推定機種・契約の確認が必要書き出せる項目と形式を確認し、取り込み方式を提示(付録A C-02)
トラボックス✕ 公開APIなし。画面・帳票からのデータ化画面を見て空車を確認し、その後は電話不足傭車先台帳の整備を先に行い、画面情報の扱いは診断セッションで相談(付録A C-03)
電話✕ 口頭のまま受注の最多経路。ノートへの書き取りで受ける不足受付メモの様式化、または入口をFAX・メールへ寄せる相談(付録A C-03)
FAX✕ 紙のまま紙のまま回収不足複合機のPDF転送設定またはクラウドFAX(付録A C-01)

6-2. AI readyまでの道のり

冒頭の一覧で✕と△が付いた観点は、10章の導入ステップの中で次の順に◯へ変わります。

工程◯に変わる観点具体
第一工程仕事の入口 / システムへの接続 / 権限の土台 / IDの軸FAXのPDF化と受付メモの様式化で入口をデータにする。基幹システムの作り、弥生会計の版、デジタコの出力形式を確認して接続する。NASの参照範囲を整理する。荷主・車両・ドライバーの呼び方をひとつの軸に寄せる
第二工程業務知識の文書化 / 実績のデータ化手控えとヒアリングから荷主条件・車格の可否・傭車先台帳・歩合の例外を意味辞書と業務マニュアルに起こす。配車と当日変更が記録として残る形にし、日報の紙からの打ち直しをAIの読み取りに置き換える
第三工程残る ? の確定(正の定義 / 承認者・役割)日報とデジタコ、日報とジョブカンのどちらを正とするかを明文化する。営業所3か所ぶんの承認者と役割の指名を確定し、対象業務を広げる

6-3. この章の読み方

足りない項目が並びますが、いずれも第一工程(10章)の中で当社が主導して埋める種類の作業で、御社の業務を止めるものはありません。埋める作業の中身と順序は、業務の実物を拝見しないと確定できないため、診断セッションの議題とします。

この規模の運送業では、点呼記録と運転日報の様式が法令に沿って整っていることが、進めやすさにつながります。記入する項目が決まっているため、紙のまま届く情報でも、読み取ってデータにする際の受け皿を作りやすいのです。デジタコに運行の実データが日々蓄積されていることも同様で、事務所側から取り出せる形にできれば、請求と給与の裏取りの材料になります。整備の中心は、電話とFAXと紙の日報という入口のデータ化と、配車と給与の判断知識の辞書化の2つに絞られます。

導入で整理する、御社の業務の意味の地図

会社固有の情報の整理が済むと、御社の業務はこの形で扱えるようになります。 下段の散らばった原本を会社固有の読み替えでつなぎ、中段で業務の実体とその関係を共通のかたちに揃え、 上段のAI社員に任せる仕事につなぎます。上段の仕事を選ぶと、その仕事が使う実体・元データ・読み替えが光ります。

湘南物流サービス株式会社(架空)

企業向けの区域配送を、電話とFAXで受けた注文からベテランの頭の中で配車を組み、紙の運転日報をもとに請求と給与を計算している運送会社です。

ドラッグで回転、ホイール・ピンチで拡大縮小。上段の仕事か中段の円筒を選ぶと、使う実体・元データ・読み替えが光ります

元データ(緑) 会社の読み替え(琥珀) システムに記録済みのつながり 導入で整理して作るつながり 合っているか照合するつながり

7. To-Be: 受注・配車ワークフロー(AI社員配属後)

配属後の姿は、御社固有の情報(荷主と納品条件の対応、車両・ドライバーと資格・車格の対応、傭車先と取り決め単価、請求単価の体系、歩合の例外)を整理したうえに成り立ちます。この章の直前に差し込んだ立体の地図は、その整理の成果物の姿です。下段が情報の置き場所(接続に導入時の確認が要るものは接続候補と表示)、中段が御社の業務で共通に扱う実体とその関係、上段がAI社員に任せる仕事です。上段の仕事を選ぶとその仕事が使う実体・元データ・読み替えが光り、実体を選ぶと判断材料がどこから来てどの仕事につながるかをたどれます。実体をつなぐ線は、システムに記録済みのつながり、導入で整理して作るつながり、合っているかを照合するつながりの3種に分かれます。

そのうえで、2章で挙げた人手の支えを、それぞれどこでAI社員が引き継ぐかを対応づけます。

2章で挙げた箇所配属後
電話・FAXの注文の書き取りと配車への持ち込みFAX・メールは配車担当AIが読み取って受注として起票。電話は受付メモの様式に沿ってAIが起票を代行(この章)
荷主条件とドライバーの状態を踏まえた配車組みAIが条件と可否を照合して割り付け案を作成し、人が確定(この章)
当日変更のホワイトボード書き直し変更をAIが受けて配車の記録を更新し、変更の履歴を残す(この章)
傭車先への順次電話AIが傭車先台帳から候補を順位づけし、依頼文の下書きを提示(この章)
紙の運転日報の打ち直し日報担当AIが読み取り、実績データとして起票(8章)
歩合と残業代の手計算歩合の例外を辞書に登録し、日報担当AIが計算の下ごしらえを行う(8章)
月末の伝票のかき集め実績が日次で集約され、締め日に請求対象一覧が出ている(8章)
荷主ごとの納品条件の把握荷主条件辞書として文書化し、AIが受注・配車の両場面で参照(この章)
デジタコと日報・配車予定の突き合わせ日報担当AIが日次で照合し、差異を報告(8章)
荷主への到着・遅延連絡AIが連絡文の下書きを作り、送った記録を残す(この章)
傭車費の精算台帳の取り決め単価で日報担当AIが請求書と照合(8章)
点呼記録・日報の法定項目の充足確認日報担当AIが読み取り時に項目の欠けを検知(8章)
車検・保険・免許・資格の期限管理台帳の持ち方から診断セッションで扱う
請求Excelから弥生会計への転記日報担当AIが計上額の照合を日次で行い、差異を報告(8章)

7-1. 配属案

業務現状の担当配属後の担当人の役割
FAX・メールの注文の読み取りと受注の起票配車課(ノートへの書き取り)配車担当AI例外の判断、AIの業務マニュアルの承認
電話注文の受付配車課人が受け、受付メモの様式に沿って配車担当AIが起票聞き取りと確認
荷主ごとの納品条件の適用営業の一部の方の記憶荷主条件辞書を参照して配車担当AIが適用辞書に載せる知見の提供と承認
車両・ドライバーの割り付け案の作成配車ベテランの記憶配車担当AIが車格・資格・稼働状況を照合して案を提示案の確定、当日の状態を踏まえた差し替え
傭車先の選定と依頼順次の電話AIが台帳から候補を順位づけし、依頼文の下書きを提示依頼先の決定と交渉
当日変更の記録ホワイトボードの書き直しAIが変更を受けて配車記録を更新し、履歴を残す変更内容の指示

7-2. 配車担当AIの職務定義

項目内容
職務FAX・メールの注文の読み取り、荷主条件の解決、受注の起票、配車の割り付け案の作成、当日変更の記録、傭車候補の提示
接続先FAX受信、メール、基幹システム、ジョブカン勤怠、LINE WORKS、ファイルサーバ
単独で実行できる操作荷主条件辞書で解決できた受注の起票、割り付け案の作成、変更履歴の記録、ドライバーへの確定済み指示の配信
人の承認が必要な操作配車の確定、傭車先への依頼、荷主への遅延・変更連絡、新規荷主の登録、条件が辞書と不一致の受注
勤務形態早朝に前夜着分を一括処理。日中は着信と変更の都度処理

7-3. 配属後の受注・配車フロー

flowchart TD
  chakusin["注文の着信<br>(FAX・メール)"] --> ai["配車担当AIが読み取り"]
  denwa["電話注文"] --> memo["人が受付メモの様式で受ける"]
  memo --> ai
  ai --> kaiketsu["荷主条件の解決<br>(納品時間・積み下ろし・車格)"]
  kaiketsu -->|"辞書で解決"| kihyo["基幹システムへ受注を起票"]
  kihyo --> an["割り付け案の作成<br>(車格・資格・稼働状況を照合)"]
  an -->|"自社車両で組める"| kakutei["配車課が確定・指示配信"]
  an -->|"車両が不足"| yousha["傭車候補を台帳から順位づけ<br>依頼文の下書きを提示"]
  yousha --> handan2["配車課が依頼先を決定・交渉"]
  handan2 --> kakutei
  kakutei --> henko["当日の追加便・欠勤・遅延"]
  henko --> kiroku["AIが配車記録を更新し変更履歴を残す"]
  kiroku --> renraku["荷主への連絡文の下書きを提示"]
  kaiketsu -->|"解決できない<br>(未登録の荷主条件・記載不備・新規荷主)"| hokoku["例外としてLINE WORKSで報告<br>(論点を整理して提示)"]
  hokoku --> handan["配車課・営業が判断"]
  handan --> tsuiki["判断結果を業務マニュアルと辞書に追記<br>(版管理)"]
  tsuiki -.->|"以後、同型の依頼はAIが処理"| ai

読み取りに自信が持てない注文は、誤って起票せず例外として人に回します。読み取りの精度を約束する方式ではなく、確信の持てないものを人に回す設計で誤入力を防ぎます。配車の確定判断は人に残します。AIが担うのは、条件と可否の照合という手間のかかる部分と、割り付け案の下書き、そして変更が記録として残ることです。電話注文は当面人が受け、書き取りから起票までをAIへの依頼に置き換えるところから始めます。

7-4. 配属後の1日

時刻工程担当
早朝前夜着分の読み取り・受注起票と割り付け案の作成が完了配車担当AI
早朝例外一覧(未登録の荷主条件・記載不備・車両不足の見込み)がLINE WORKSに届く配車担当AI→配車課
例外の判断と割り付け案の確定から業務を開始。書き取りと転記は発生しない配車課
確定した指示をドライバーへ配信配車担当AI
日中追加便・欠勤・遅延の変更を受けて配車記録を更新、履歴を残す配車担当AI
日中車両不足時は傭車候補の順位と依頼文の下書きを提示配車担当AI→配車課
夕方当日の運行結果と変更履歴を一覧で報告配車担当AI

例外の比率は導入初期が最も高く、判断のたびにマニュアルと辞書へ追記されるため、運用とともに下がる構造です。配車ベテランの方の頭の中にある条件は、この追記の積み重ねで辞書に移っていきます。

8. To-Be: 日報・請求・給与ワークフロー(AI社員配属後)

8-1. 日報担当AIの職務定義

項目内容
職務紙の運転日報の読み取りと実績データ化、デジタコ・ジョブカン勤怠との照合、請求対象一覧の作成、傭車費の突合、歩合・残業代の計算の下ごしらえ、弥生会計との計上額照合
接続先スキャナ・複合機、デジタコの書き出しファイル、ジョブカン勤怠、基幹システム、弥生会計、ファイルサーバ、LINE WORKS
単独で実行できる操作日報の読み取りと実績起票、照合の実行、差異一覧の作成と報告、法定項目の欠けの検知、請求対象一覧の作成
人の承認が必要な操作差異の最終判断、請求書の発行、給与額の確定、仕訳の確定、傭車費の支払処理
勤務形態毎日夕方に定時実行。締め前と給与計算期間は毎朝も実行

8-2. 配属後の月次タイムライン

時期工程担当
毎日提出された日報の読み取りと実績起票、記入項目の欠けの検知日報担当AI
毎日配車記録・日報・デジタコ・ジョブカン勤怠の照合(便・車両・ドライバー単位)日報担当AI
毎日差異一覧と根拠(該当便・日報の該当箇所)がLINE WORKSに届く日報担当AI→管理部
締め日請求対象一覧(付帯作業・待機・高速代の加算候補を含む)が出そろう日報担当AI
締め+数日請求内容の確定と請求書の発行。荷主ごとの様式への展開はAIが下書き日報担当AI→経理
締め+数日傭車先請求書と台帳の取り決め単価の突合、差異の報告日報担当AI→経理
給与締め後歩合・残業代の計算の下ごしらえ。例外の適用箇所を根拠付きで提示日報担当AI→経理
月初弥生会計の計上額との照合は日次で完了済み日報担当AI

8-3. 時間の変化(推定)

項目現状配属後
紙の日報の打ち直し毎日、事務所で請求用と給与用に打ち直す読み取りと起票がAI側で完了し、人は読み取れなかった箇所のみ確認
月末の請求の締めあちこちの伝票をかき集める締め日に請求対象一覧が出ている
歩合・残業代の計算例外を知る1名がほぼ手計算例外の適用箇所が根拠付きで提示され、人は確認と確定
配車ベテラン不在時配車が組めない割り付け案がAIから出るため、条件の判断に絞って別の方が確定できる
当日変更の追跡ホワイトボードの書き換えで経緯が消える変更履歴が残り、誰が何を運んだかを後から辿れる
傭車先探し付き合いのある先へ順に電話台帳から候補と順位が出た状態で電話を始められる

実数の測定は、試用期間中に御社の帳票で行います(付録B)。

9. システム構成(To-Be)

flowchart TD
  kikan["自社開発の基幹システム"] --> madoguchi
  yayoi["弥生会計"] --> madoguchi
  jobcan["ジョブカン勤怠"] --> madoguchi
  digitaco["デジタコ<br>(書き出しファイル)"] --> madoguchi
  fs["ファイルサーバ・NAS"] --> madoguchi
  faxin["FAX受信 / メール"] --> madoguchi
  scan["日報のスキャン"] --> madoguchi
  madoguchi["各システムとAIの間の窓口(システムごとに設置)<br>・アクセスできる範囲の制御(権限)<br>・全操作の記録(監査ログ)<br>・意味辞書(荷主条件、車格と資格の可否、傭車先台帳、請求単価、歩合の例外)"]
  madoguchi --> haishaAI["配車担当AI"]
  madoguchi --> nippoAI["日報担当AI"]
  haishaAI -->|"報告・例外照会・指示配信"| lw["LINE WORKS"]
  nippoAI -->|"報告・例外照会"| lw
  lw <-->|"判断・承認"| hito["配車課・運行管理・経理"]
  lw <-->|"指示・報告"| driver["ドライバー"]

意味辞書に登録する内容の一覧は、付録A-2にまとめています。

10. 導入ステップ

第一工程の内容は、6章で足りないとした項目にそのまま対応します。

工程内容この時点で使える状態
第一工程窓口の接続(基幹システム・弥生会計・ジョブカン勤怠・デジタコ・NAS・FAX受信)と意味辞書の初期整備散らばった社内情報を、意味を踏まえて横断検索・集計できる
第二工程配車担当AIの配属。FAX・メールの受注と配車案の作成に絞って開始書き取りと転記がAIに移り、人は条件の判断と配車の確定に移る。配車と当日変更が記録に残る
第三工程日報担当AIの配属、対象業務の拡大日報のデータ化、請求の日次集約、給与計算の下ごしらえ

導入後に社内に残るものは次の3点で、いずれもファイルの形を持ちます。

  1. 業務マニュアル。例外対応の追記を含む、版管理された手順書。配車の組み方と給与計算の考え方が、初めて書いたものになります
  2. 意味辞書。荷主条件・車格と資格の可否・傭車先台帳・歩合の例外といった、データの読み方の登録集
  3. 監査ログ。AIがいつ何を参照しどの操作をしたかの全記録

利用をやめた場合も、この3点は読める形式のファイルとして手元に残ります。

他の手段との比較

外注(BPO)RPA・AI-OCRCopilotAI社員
例外が起きたとき委託先が対応する処理が止まり、人が拾う人が操作して対処する人が判断し、判断結果が手順に追記される
ノウハウの残り先委託先の会社設定した担当者使った個人自社の業務マニュアルと意味辞書
記録委託先の管理に依存実行ログのみ残らない全操作の監査ログ
やめたときノウハウごと失われる設定だけが残るマニュアル・辞書・ログがファイルで残る

導入後も続く運用

業務は変わり続けます。新しい荷主、車両とドライバーの入れ替え、傭車先の変化、単価改定、法令の改正。月額利用の中では、例外判断のマニュアル・辞書への反映、接続先の変化への追従、任せる業務の拡張が続きます。AI社員の仕事の範囲は、配属時の定義から運用の中で広がっていきます。

実装項目の一覧は付録A、試用期間の検証計画は付録Bにまとめています。

11. セキュリティ設計

11-1. データの経路と実行の条件

データ通る経路通らない経路
注文・配車・運行実績窓口を経由してAI社員が参照外部AIモデルの学習には使用しない
荷主・単価・傭車先の情報権限のある範囲でのみ参照権限のない参加者がいる場では表示しない
ドライバーの勤怠・給与情報権限を絞った範囲でのみ参照配車業務の担当者には表示しない設定が可能
AIモデルの利用処理に必要な範囲のデータを推論時にAIモデルへ渡す学習・保存には使われない設定で利用。要件に応じてプライベート環境にも対応
実行記録監査ログとして自社環境に保存社外に送信しない

11-2. 導入時によく確認される事項

確認事項回答
データの保存先と環境分離1社1環境で提供。保存先と取り扱いは導入時に書面で明示。詳細資料は診断セッションで提供
給与・勤怠情報の取り扱い参照範囲を役割ごとに区切り、経理の権限内でのみ扱う設定にできます
法定帳票との関係点呼記録・運転日報の様式と保存の運用は現行のまま。AIは読み取りと項目の欠けの検知を担います
例外の多い業務への適用頻出の例外はマニュアルに載せ、一点物の判断は人に残す。載る範囲と載らない範囲の線引きを導入前に文書で提示
解約時のデータ業務マニュアル・意味辞書・監査ログは読める形式のファイルとして残る
診断セッションの参加者技術担当が同席。希望に応じてNDA締結後に実施。議題は事前に固定

12. 提供体制

場面当社が行うこと御社にお願いすること
導入(第一工程)窓口の接続、意味辞書の初期整備、業務の聞き取りと観察(配車の現場と日報の処理の見学を含む)業務知見の提供(ヒアリング対応)、正とするルールの判断
導入(第二工程)AI社員の設定、業務マニュアルの初稿作成、試用期間の運営例外の判断、マニュアル内容の承認
運用開始後定例の振り返り、例外傾向の分析、任せる業務の拡張提案、接続先の変化への追従判断と承認の継続

導入から運用まで、技術担当と導入支援担当が付きます。問い合わせは担当窓口に一本化します。営業所が3か所に分かれている点は、配属の順序と承認の経路の設計に反映します。

13. 御社版の作成にあたって

本書は架空企業のサンプルです。2〜6章のAs-Isはシステム構成からの推定であり、御社の実際の業務・数字・例外ルールを反映していません。

御社版の作成は、30分の診断セッションから始めます。セッションでは次の3点を持ち帰っていただけます。

  1. 2章の一覧を御社の実際に合わせて確定した、人手が支えている箇所の一覧表
  2. お使いのシステムの版と作りに応じた、接続方式と可否の回答(自社開発の基幹システムとデジタコの出力形式を含む)
  3. どの業務から、どんな体制で、どの程度の規模感で始められるかの初期見立て

セッションは技術担当が同席し、ご希望に応じてNDA締結後に実施します。議題は事前にお送りする内容に固定します。お申し込みは、ブースの担当者にお声がけください。

(セッションを予約されない場合、こちらからの営業連絡は行いません。)

付録A. 実装項目

実装の中心は、各システムとAIの間の窓口(標準規格MCPによる接続)の構築と、業務ナレッジ(意味辞書・業務マニュアル)の整備の2つです。項目をID付きで整理します。

A-1. 窓口の接続

ID接続先実装内容読み書きの範囲工程
M-01FAX受信複合機からのPDF転送を受けて注文書を取り込む読み取りのみ第一
M-02メール受注メールと添付の取得読み取りのみ第一
M-03LINE WORKS指示配信、報告・例外照会・承認依頼の送受信、ドライバーからの連絡の取得送受信第一
M-04自社開発の基幹システム受注・荷主情報の参照と受注起票。接続方式はデータベースの構造と出力手段により異なる参照+受注起票。単価変更は承認付き第一〜第二
M-05配車・実績の記録配車の割り付け、当日変更の履歴、運行実績の保存先を用意し読み書きする参照+書き込み第二
M-06ジョブカン勤怠出退勤・残業時間の参照読み取りのみ第一
M-07デジタコ(矢崎)書き出しファイルから運行データを取り込む。項目と形式は機種・契約により異なる読み取りのみ第一〜第三
M-08弥生会計計上額・残高の参照読み取りのみ第一
M-09ファイルサーバ・NAS伝票・帳票・点呼記録・日報綴りの検索参照読み取りのみ第一
M-10日報のスキャン取り込み複合機・スキャナからの運転日報の取り込みと読み取り読み取りのみ第三

すべての窓口に、アクセス範囲の制御と全操作の記録が標準で備わります。既製の接続部品がある接続先はそれを使い、ない接続先は個別に開発して納品します。

A-2. 意味辞書の整備

ID辞書内容整備の方法
D-01荷主ごとの条件納品時間の指定、積み下ろしのやり方、付帯作業、車格の指定、連絡の作法営業の手控えの取り込みとヒアリングで補完
D-02車両・ドライバーの台帳車格・装備、必要な免許と資格、得意エリア、組み合わせの可否既存Excelと車検証・免許情報の取り込み、運行管理へのヒアリング
D-03傭車先台帳傭車先の一覧、対応エリアと車格、取り決め単価、声をかける順序の考え方配車ベテランの手控えと過去の依頼実績からの抽出
D-04請求単価の体系荷主ごとの単価体系(距離制・時間制・個建て)、待機・高速代・付帯作業の加算ルール、請求様式と送付先過去の請求書と経理・営業の手控えの文書化
D-05歩合給の例外区域ごとの単価、欠勤時の扱い、傭車に出た日の扱い、残業代との関係経理へのヒアリングと過去の計算実績からの抽出
D-06呼び方の統一荷主・車両・ドライバーの、基幹システム・ジョブカン・デジタコ・Excelでの呼び方の対応各システムのマスタの突き合わせ
D-07正となる数字運行時間・走行距離・待機時間の正はどのデータか(日報かデジタコか、日報かジョブカンか)運行管理・経理へのヒアリング

A-3. 業務マニュアルの整備

IDマニュアル内容
K-01受注受付電話・FAX・メールの受付から受注起票までの手順、電話の受付メモの様式
K-02配車の組み方条件と可否の照合、割り付け案の作り方、AIが単独で進めてよい条件と人が確定する範囲
K-03当日変更追加便・欠勤・遅延の受け方、配車記録の更新と荷主連絡の手順
K-04傭車手配候補の順位づけの考え方、依頼と単価確認の手順
K-05日報・請求・給与日報の読み取りと照合の手順、請求対象の確定手順、歩合・残業代の計算手順と例外の適用
K-06例外対応例外の型(未登録の荷主条件・記載不備・新規荷主・車両不足・照合差異)ごとの報告先と判断の記録方法
K-07追記の運用例外判断の結果をマニュアル・辞書へ反映する手順と版管理

A-4. AI社員の設定

ID項目内容
A-01配車担当AIの定義職務・接続先・権限・勤務形態(早朝の定時実行+着信と変更の都度)
A-02日報担当AIの定義職務・接続先・権限・勤務形態(毎夕の定時実行。締め前と給与計算期間は毎朝も実行)
A-03承認フロー配車の確定・傭車依頼・荷主連絡・請求発行・給与確定をLINE WORKS上で承認する経路の設定
A-04営業所ごとの範囲3営業所それぞれの配車・実績の扱いと、横断して見る範囲の設定

A-5. 開始前に一緒に確認する事項

いずれも第一工程の中で当社が主導して進めます。御社に単独でお願いする作業はありません。

ID項目内容
C-01FAXのデータ化複合機のPDFメール転送設定、またはクラウドFAXの導入
C-02システムの作りと版の確認自社開発の基幹システムのデータベース構造と出力手段、弥生会計の版(クラウド/デスクトップ)、デジタコの機種と書き出せる項目をお知らせいただければ、接続方式と可否を当社から提示します
C-03電話注文と空車探しの扱い電話は当面人が受け、受付メモの様式化から始めます。トラボックスの画面情報の扱いと、入口の寄せ方を診断セッションで相談
C-04ファイルサーバ・NASの権限整理AIに参照させる範囲の確定と、不要な共有の棚卸し。給与関連ファイルの範囲の切り分けを含みます
C-05アカウントと利用申請AI社員用のアカウント、LINE WORKSのトークルーム、ジョブカン勤怠のAPI利用申請
C-06配車・実績の記録の入れ物ホワイトボードと個人Excelに分散している配車情報の項目を決め、記録の置き場所を用意します
C-07役割の任命教育係、例外の判断者、意味辞書の内容を承認する担当(配車・営業・経理から各1名)の指名

A-6. 非機能要件

環境の独立と監査ログの扱いは11章のとおりです(保持期間は導入時に取り決めます)。

項目内容
稼働時間帯定時実行(早朝・夕方)と着信・変更の都度処理。時間帯は設定で変更できる
停止時の業務継続窓口が停止した場合は従来の手作業手順(ノート・ホワイトボード)に戻れる。業務データは既存システム側にあり失われない
追跡受注1件ごとに、受付・起票・割り付け・変更・実績・請求までの履歴を遡って確認できる
法定帳票の原本点呼記録・運転日報の原本と、読み取ったデータの対応を保持する

付録B. 試用期間(PoC)の検証計画

導入は試用期間として小さく始め、開始前に合意した水準で本番化を判定します。

B-1. 試用期間の範囲

項目内容
対象業務FAX・メールの受注の起票と、配車の割り付け案の作成まで。日報担当AIは配車の本番化後に着手
対象範囲1営業所と、依頼件数の多い荷主10社程度から開始し、順次拡大
期間4〜6週間
運用形態並走運用。AIの起票と割り付け案を人が確認してから確定し、精度を見ながら確認を段階的に外す
体制教育係1名、例外の判断者1名(配車課、兼任可)、週次の振り返り30分

B-2. 検証項目と指標

本番化の水準は試用期間の開始前に合意し、文書に残します。表の水準は例です。

検証項目指標測定方法本番化の水準(例)
荷主条件の解決人手なしで条件を解決して起票できた依頼の割合実行ログの週次集計対象荷主で8割以上
割り付け案の妥当さ提示した案が修正なしで確定した割合配車記録の修正履歴との突合週を追って上昇
起票の正確さ確定後に人の修正が入った起票の割合基幹システムの修正記録との突合継続的に数%未満
例外の収束例外として人に回った件数の週次推移例外報告の件数集計週を追って低下
変更の追跡当日変更後に、誰が何を運んだかを記録から辿れた割合変更履歴の抽出検査全件追跡可
資産の蓄積マニュアル・辞書への追記件数と版の更新版管理の履歴追記が継続している
業務時間朝の受注書き取りと配車組みにかかる時間試用期間前後の実測書き取りと転記の分が減少
統制承認の通過漏れと、監査ログでの追跡可否ログの抽出検査漏れゼロ、全件追跡可